赤ちゃんの匂い

Rika Sawayanagi

優等生。

 

いい子だね、すごいね。なんでもできるね。

親のじまんの娘だね。

 

そう、いわれるたび、少しのうれしさとともに、

若干の後ろ暗いきもちがあった。

 

 

ほんとうの私はそんなんじゃないのに

 

 

自分の建前の部分をほめられても、

悪い気はしないけど、

その狭間で

“ほんとうの私も、わかってほしいのに”

という気持ちがあった。

 

 

中学生のとき。

 

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私は、優しい子だった。

 

勉強ができて、運動もできた。

学校でも、生徒会をしていたし。

 

 

ただひとつ、

私は「優しい子」を演じていた。

 

 

勉強と運動ができれば、

「なんでもできる」といわれる世界で。

 

勉強でいちばんになれば、親からほめられる。

運動でいちばんになれば、お母さんがよろこぶ。

 

それがうれしくて、もちろん私自身もうれしくて、

私は、結果を出すことをしつづけた。

 

 

「なんでもできるりかちゃん」でいようと、

しつづけたんだ。

 

 

でもさ、なんとなくわかるんだけど、

なんでもできる、なんでもトップの成績をだす

なんて、つづかないのよ。

 

 

勉強だって、だんだんむずかしくなる。

足だって、もっと速い子がでてくる。

 

 

1からずっと1位だったマラソン大会が2位になり、

ずっといちばんだった、かけっこも1位を取れなくなって。

 

わたしは、少しずつあせっていったんだよね。

 

 

ほんとうは、わかってた。

 

みんな人間として同じアプリをもってるの。

基本機能はおんなじ。

 

 

だけど私は

“人よりも早く”ものごとを始めたから、

ちょっとだけ先に進んでるだけ。

 

運動も、勉強も。

 

人より早く、練習を始めて、

人より早く、対策を始めるから、できてるだけ。

ほんとうは、変わらないのに。

 

だから、

追いつかれないようにしなきゃ。早くしなきゃ。

というなぞの焦りが、

ある時から生まれるようになった。

 

小学校5.6年くらいから、かな。

無意識に、なにかから追われてるような、

そんな気がしてたの。

 

 

 

つづく。